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今夜の番組チェック
どいつもこいつもバルカンバルカンうるせえ
よ!
前に語ったように、普通の機関銃・・・銃弾の発射ガスや反動を利用して、ボルトを前後させて給弾、排莢を行うものが
開発される以前、機関銃の威力を最初に見せ付けたのはガトリング・ガン=外部動力式回転多銃身型機関銃。
機構的に複雑で、重く大きくなることから歩兵の武器としての地位を奪われたものの、高速のジェット戦闘機の
武装として、瞬間的にものすごい量の弾丸(20mmバルカン砲・M61だと最大1秒
に100発!)を発射できる利点を
買われて、半世紀ぶりの復活となった。給弾・排莢を弾丸に頼らずに電動モーターに任せているので、不発弾が
あっても強制的に排除され、そのまま連射できるのも有利なところだな。ところで、よくガトリングガンの類を何でも
「バルカン砲」
と呼ぶ輩が多いが、これはアメリカのジェネラル・エレクトリック社のGAU
-4(M61系)20mmガトリング砲に付けられた
商標名であり、ガトリング砲全体を「バルカン」と呼ぶのは、コンビニ全てを「セブンイレブン」、家庭用ゲーム機全てを
「ファミコン」、可変戦闘機全てを「バルキリー」と呼ぶようなものだぞ(笑)。まして、単なる機関銃をバルカンなどと
呼ぶのはもはや論外であるッ!鉄拳をもって制裁すべし!・・・さて、さらに大型の対戦車攻撃用30mmアベンジャー、
対艦ミサイル防衛用バルカン・ファランクス、ヘリや車輌に搭載する7.62mmミニガン、さらに小さな5.56mmミニミニガン
・・・などとバリエーションが展開、瞬間的に弾丸の雨をぶちまける制圧力こそがこの種の兵器の特徴だ。あまりに
発射速度が速いので、反動はすごいし発射炎で前はよく見えないし、そもそも重いしで何かの乗り物に載せるのが
あたりまえだが、映画では7.62mmミニガンを携帯用に改造したものが登場している。最初に使われたのが、映画
「プレデター」での「ペインレスガン(無痛銃)」。この後「ターミネーター2「にも登場、いろんなアニメや漫画に類似品が
あふれるのだが、現実にはありえない装備なのだ!いや、銃架に据えて重機関銃として用いるタイプはあるが、
モーターに必要な24ボルトバッテリー2個と、何百発もの弾薬を抱え、更に重たい銃本体を抱え、しかも伏せ撃ちも
できず、直立不動でいい的になってしまうだろうが!そもそも映画では、バッテリーは役者から離れたところに置き
コードを地面に這わせ、役者のズボンのすそを通して銃に繋げていたりするのだから!おまけに、空砲だからいいが
実包ならどえらい反動に振り回されることになるぞ!。アレは、「カッコイイ」からこそ劇中で使われているのであり
あくまで「リアル」を気取るなら使うものではない。ところでこの「無痛ガン」、プレデターのTV放映での吹き替えでは
「チェーンガン」
などと訳していたが・・・バカ者ォォォッ!まったく違う種類の銃じゃあああッ!いいかッ!チェーンガンとは、ガトリング
と違って銃身は1本。一見普通の機関砲のようだが、モーターとチェーンでボルトを前後させ、給弾・排莢を繰り返す
これまた外部動力式の機関砲なのだッ!最も有名なのが25mm
ブッシュマスター。装甲車などの主砲や、ハマーの
ような汎用軍用車輌に乗せたり、ヘリや航空機、はては重機関銃の銃架にまで載せて使えるもの。ゆえに発射速度
は普通であり、例によって不発でも連射を続けられるのが利点なのだ。この点を理解して設定しているアニメやゲーム
は、皆無に近いのが情けない。例えば「バーチャロン」の番外編でのライデンの携帯ガトリング砲もチェーンガンに
なってるし、「太陽の牙ダグラム」のダグラムの腕に内蔵された20mmバルカン砲と、ソルティックの30mmチェーンガン
には、発射音や威力などに描写の差は全く無いというありさま!
少しは調べんか貴様らァァァ!
ちなみにこれも商標名だ。実物は単なる機関砲と、威力の点では何ら変わらないものである。
と、いうわけで、この手の兵器は名前ばかりが先行して、どんなものかまるで分かってないで設定されてることが
多すぎる。とりあえずガトリング・ガンは「ものすごい弾幕を張る」という効果があり、見た目の迫力もごっついので
「絵」になり、エンターティメント作品向けである。ただし、全ての銃身から同時に火を噴いたり(薬室の前に来た
銃身だけから発砲するのが正しい。だいたい、円の上のあたり)、どこに多量の弾丸があるのかわからない構造や、
駆動に電力が必要なことを忘れてデザインするのはやめていただきたい。いっそ、「ビームバルカン」なんて
回転する意味はまるでないが、とにかくハデでカッコイ〜っとひらきなおるなら話は別だが。なんでもいいが
調べてから描くべしったらべし!!
(総統ちゃん、いきなり乱入)

機関砲について・補完編
機関砲(マシン・キャノン)と機関銃(マシン・ガン)の違いは何か?・・・大きいか小さいかの差かな?これは国や時代に
よって差があるのだが、弾丸が爆発するのは機関砲、と考えればまあ正解だろう。例えば、旧日本陸軍では12.7mm
以上を「機関砲」と呼ぶが、ブローニングM2の小型版デッドコピーであるホー103は、オリジナルと違って炸裂弾も使って
いる。反面、海軍では20mmでも「機銃」なのだが。昔の「ガトリング砲」は小銃弾と威力の変わらぬ銃弾を使っており、
大きいとはいえ「砲」といえるか疑問だったし。現代では、20mm以上の口径のものを「機関砲」と呼ぶのが普通である。
ところで、アニメや漫画のロボットが持つ機関砲の名称に間違いが多いことは前回語ったが、以下の用語も正しく
認識されたないことが多いため、ここでまとめて解説しておこう。
リボルバーカノン(キャノン)
この名前の武器は、いくつかのアニメやゲームに登場するが、全くの別物である。名前だけ見ると、昔の回転式弾倉の
拳銃が大きくなったようなイメージだが、実際は普通の機関砲のボルトの前後動の変わりに、次々に回転弾倉に弾を
こめて連射、高い発射速度を誇るものだ。文章で説明しても全くわからないと思うので、上手く図説したページを紹介。
イギリスのADEN、フランスのDEFA、ドイツのマウザー27mmなど、航空機用の機関砲として採用されている。
モーターカノン
・・・という種類の機関砲があるわけではない。これは用途的な分類であるッ!昔のプロペラ付きの戦闘機の場合、機首に
機関砲を搭載すると、プロペラ同調装置が狂うと炸裂弾でペラが吹き飛ぶ危険があるため、プロペラの軸を中空のパイプ
にして、その中に機関砲の砲身を通し、つまりプロペラの中心から砲弾を発射するというもの。機関砲は液冷式エンジンの
V字配置のシリンダの間に収まっており、空冷式では構造上置くスペースが無いので使えない。機関砲そのものは、翼に
搭載されているものと基本的に同じであるが、機体中心にあるので命中率が良い。
なお、「ファイブスター物語」のモーターヘッドにも「モーターカノン」なるものが搭載されているが、おそらくマシンカノン
(ドイツ語発音でマシーネンカノーネ=機関砲)と間違えて命名したのだろう。(ドイツ語ではモーター=エンジン)
無反動機関砲
第二次大戦末期にドイツで量産されかけたが、ついに間に合わなかった珍しい機関砲。大口径の砲を飛行機に搭載すると
その強烈な反動が問題となるが、この砲は後方から噴出するガスで反動を相殺し、大口径のわりに反動が少ないという
利点がある。近年、小型車輌搭載用として新たに開発されたものも。普通の無反動砲同様、発射ガスを半分捨てるため
砲弾の初速が遅いという問題があるが、近距離から浴びせる一発で大型爆撃機も粉砕できるのだ。
自動砲(オートマチックカノン)
これは機関砲と砲の中間的なものに与えられる分類。砲が自動的に動くのではなく、自動的に(機械的に)弾丸が装填・排莢
される、発射速度の速い砲のことである。機関砲がフルオート(全自動)なのに対し、自動砲はセミオート(半自動)・・・
え〜と、つまりダダダダダダ!ではなくドン ドン ドン ドン!・・・って感じだな(笑)。具体的には自衛隊の89式戦闘車が搭載
しているのはエリコン35mm機関砲、イギリスのシミターやウォーリアが搭載してるのがラーデン30mm自動砲。よく軍艦に
搭載されているOTOブレダ(旧OTOメララ)の76.2mmや127mm自動砲も有名。昔の同クラスの砲とは比較にならぬ発射速度。
スマートガン
これは現実には存在しない、「エイリアン2」に登場する宇宙海兵隊が腰だめで撃つ機関砲のこと。顔の前にある照準機で
敵を捕らえると、自動的に銃口がそっちに向く・・・というもので、機能的には攻撃ヘリコプターの機種に付く機関砲に近い。
(映画『アパッチ』『ブルーサンダー』を参照)しかし直立したまんまだから、いい的になってしまいそうだな。ちなみに
「スマート」は「賢い」という意味・・・自動制御されて目標を追尾する兵器、自動的に敵味方を識別する兵器。
破砕砲(デモリッションガン)
これは頑丈な固定目標(トーチカや障害物)を粉砕するための工兵用の装備である。射程が短い代わりに炸薬量が多い。
イギリスのチャーチルAVREの砲などは、砲身を真上に向け(つまり、砲尾が砲塔内に入ってない)真下の操縦士が
下から弾を込めるなど変わった方式で、動いている敵を狙って撃てるようなものではない。
ロケット自動砲(?)
という言い方は無いが、そうとしかいえないのが旧日本軍のホー301・40mm機関砲。ジャイロジェットピストルという、
小型のロケット弾を発射するピストル(『007は二度死ぬ』参照)があるが、それが大きくなったような感じだな。
もっとも、砲身から飛び出る前に燃焼は終わってるので、原理的には迫撃砲・臼砲にちかいのか。
やはり初速が大変遅いが、大口径ゆえ破壊力は大きい。また反動が口径のわりには小さく、軽くできている。
「風の谷のナウシカ」のガンシップの機首の砲は、ホー301を単発式にして弾丸を大型化したようなシロモノである。
またアニメの砲の中には、歩兵の持つ銃がそのまんま大きくなったようなシロモノが多いが、どうやったって構造的に無理!
機関砲の連射は、火薬の種類、熱による膨張、バネの強度・材質、0.01ミリ単位での工作精度などが全てバランスよく収まって
はじめて機能するものであって、まるまるスケールアップしたところで作動すらしないものなのだ。むしろ、通常の機関砲を
ロボットの手持ち型に改装するほうが合理的といえる。特に、航空機用機関砲は比較的軽量であり、しかも空中戦での強いGの
かかる状況でも稼動するので、ロボットが振り回すのに最適ではないかな?ま、手に持たせたら照準がブレそうだけど、そこは
見た目のカッコよさと演出の問題だからあまりツッコまないでおこう。描き手が「わかってて」バカやってるのと「知らないので」
デタラメ描いてるのでは大違い。特にガンマニアはうるさいので、また繰り返すが「少
しは調べてから描け!」
