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味方が撃ってもテキダンとはこれいかに? (1)


Grenade(グレネード)
という英単語は、日本語訳すると「手榴弾」(てりゅうだんorしゅりゅうだん)または「擲弾」(てきだん)、小型の爆裂弾のことだな。
ドイツの「擲弾兵」=Grenader(グレナディーア、英語読みでグレネーダー)という兵科は、もともとナポレオン戦争の時代、
当時の不安定な黒色火薬の爆薬を投擲する、危険な任務のエリート部隊の名称。(第二次大戦中には戦意高揚のためか
歩兵を擲弾兵と呼び変えた)これが現在のようなスタイルの安定した性能の手榴弾として完成するのは第一次大戦のこと。

長期にわたって塹壕にこもってにらみ合う状態となった西部戦線では、離れたところから相手の塹壕の上から擲弾を放りこむ
ために、いろいろな工夫が始まった。でっかいパチンコや、バネ利用のものから始まったそれは、小型の臼砲である迫撃砲
小銃擲弾(ライフルグレネード)
を生み出した。これは、棒状の敵弾を歩兵用のライフルから空砲の発射ガスを利用して飛ばそうというもの。最初は、銃身に
差し込む長い棒の先に擲弾のついた形状だった。しかし、これだと長くて邪魔だし、銃身に負担がかかり、最悪膨らんで
ライフルとして使い物にならなくなる危険があり、銃をハリガネでぐるぐる巻きにして膨張を抑えようとしたものもあるほどだ。

そこで、ライフルの銃口に専用のアダプターをつけ、そこに差し入れて発射するタイプが登場する。コップ状のものに入れる
タイプと、棒状のものに差し込むタイプがあり、現代では後者のタイプが多いな。これら小銃擲弾、特に昔のボルトアクション
タイプの銃に取り付けるものは、ほとんどが肩につけて構えるのではなく、地面に床尾を付け、小型の迫撃砲のように構える
ことが多い。というのも、同じ量の火薬で小さな銃弾を飛ばすより、大きな擲弾を飛ばす方が反動が大きい(作用反作用の
法則)から、下手すると(反動がモロに帰ってくるボルトアクション銃では特に)肩を痛めることになるから。最近では、
銃口の下に擲弾を取り付け、空砲でなく実弾を発射、ガスだけ誘導して擲弾を同時に飛ばすタイプもある。

しかし前述したように反動がキツく、銃に負担をかけるのももったいないので、擲弾発射専用の
擲弾発射機(グレネードランチャー)
が登場する。最初は、日本軍が開発した「擲弾筒」。形はT字型の小型迫撃砲で、Tの横棒にあたる湾曲した鉄板製の台座
を地面に押し当て、砲身に付属する(大工が使うような)水平器で角度を45°に固定。砲身下部を回して長さを調整(これで
発射ガスの調整ができ、飛距離が変わる)、紐の付 いた引き金を引いて発射するものだ。最初は手榴弾も飛ばせる兵器だったが、
より高性能の専用弾を使う新型に変わった。この擲弾筒、歩兵分隊がいちいち砲兵に支援を頼まなくても、自力でちょっとした
支援砲撃ができるのでなかなか便利。開発した日本は戦後これを発展させることはなかったが、対戦したアメリカはその効果を
認めたのか、ベトナムでのジャングル戦に適していると考え、新たなタイプの擲弾発射機を作り出すこととなる。

その前に第二次大戦中にドイツが開発した「高-低圧理論砲」について語らねばならない。これは、戦車の装甲が厚くなり
対戦車砲がこれに対抗するため巨大化して、人力では動かせない重さになってしまったのをなんとかしようと考えたもの。
見た目は普通の対戦車砲・・・ なにしろ、防盾や砲架が既成品の流用・・・だが、原理的には迫撃砲弾改造の専用砲弾を
ガス圧を比較的ゆっくりめに伝えて飛ばすとか何とか(資料が少なくてよくわからんのだが)ともかく反動が小さく、砲身の
肉厚も薄くでき、結果軽量化できるのだ。(もっとも砲弾の初速は低下するので、対戦車用の砲弾はHEAT弾中心になる)

この理論を応用したのがM79 グレネードランチャー。「ターミネーター2」や「砂ぼうず」の劇中に登場するので知ってる者も
多かろう。見通しの悪いジャングルで、敵の隠れていそうな場所にブチ込むのに最適な個人装備で、中 折れ式ショットガン
みたいに一発ずつ手で弾を込めて撃つ
。例の高-低圧理論の応用で、日本の擲弾筒が身につけて発射すると複雑骨折
するほど強烈な反動なのに対し、肩当てで発射しても平気で使いやすい。しかし、目の前に飛び出してきた敵相手では
使えないため、突撃銃に取り付けるタイプのM203が登場、現在に至るまで多用されている。なお、中折れ式のランチャーは
現在はガス弾やゴム弾を発射する治安警察用グレネードランチャーとなり、さらにはリボルバー弾倉で連発のものなど登場。

                                 



味方が撃ってもテキダンとはこれいかに?(2)


擲弾発射機=グレネードランチャーとは、手榴弾クラスの破壊力を持つ小型榴弾を数十〜数百メートル遠方に投射するための
兵器であるッ! したがって、これ以上大きいものやロケット推進の砲弾を発射するものをグレネードランチャーとは呼ばない
そんなのは大砲(ガン/キャノン)か噴進弾発射機(ロケットランチャー)だからな。アニメでは「機動戦士Zガンダム」でZガンダム、
メッサーラ、ガンキャノン重装型が「グレネードランチャー」と称する装備を持つが、大きさ的にも機能的にも、ちっともグレネード
ランチャーじゃねえぞ!
「ガンダム0083」のザクF2が持つザクマシンガンや、「装甲騎兵ボトムズ」のスコープドッグの持つ
30mmマシンガンには、米軍のM203のように銃身に並行してグレネードランチャーが装備されているが、劇中で使ってたっけ?
(前者はともかく、後者は用途や大きさからして正しくグレネードランチャーと呼んでもいいだろう)また、発射音は「ドン!」とか
「ドゴ〜ン!」といった、大砲のような重い音ではない。「ポン!」とか「パウ!」って感じの、ガス圧で押し出すような破裂音。

M203はM16系の突撃銃に追加装備されるアタッチメントであるが、21世紀の後継銃として提案され ているものの中には
最初からグレネードランチャーが一体化(取り外しも可能)した形で、しかも従来(40mm)より小口径化された(20mm)擲弾 は
ハイテク化、電子チップが埋め込まれ、敵の脇を擲弾が通り過ぎる瞬間に爆裂するように時間を調整できたりする!・・・
まあ、当然高価になっちまうのが問題だが。ミサイルと違い個人装備でガンガン発射される弾が高価すぎるんじゃ使えない。

人間が携帯しない擲弾発射機としては、車輌に装備される車載型がある。古いところでは第二次大戦のドイツ戦車が搭載していた
Sマイン発射機で、これは戦車の天井に斜めに装備された円筒状発射機に車内から(擲弾のかわりの)Sマイン(跳飛式空中
炸裂型対人地雷)を装填、点火すると飛び出したSマインが周囲に金属ボールをばら撒いて接近してきた敵兵を切り裂くもの。使って
いるものが地雷であり厳密には擲弾発射機とは違う防御兵器なのだが、対人用に弾片を撒き散らして殺傷する制圧兵器である点は
共通する。(初期のタイプはSマインを内蔵した円筒を車体の角近くに固定設置しただけのシンプルなもので、車内から電気着火して
発射。外に出て装填しないと再発射はできない上、銃撃や砲撃の弾片で簡単に破損・暴発するので使われなくなった)ガンダム世界
では「第08MS小隊」で、旧ザクが接近してくるゲリラに対する「近接兵器」と称したSマインに類似した兵器を用いていたぞ。

これに対し、現在ではより攻撃用・火力支援用として擲弾を機関砲のように連射できるオー トマチック・グレネードランチャー
使用されている。これらは戦車ではなくジープ型の小型車輌から兵員輸送車、はては攻撃ヘリコプターにも搭載できる比較的
軽量・低反動でありながら攻撃支援に大変役立つことから、従来の機関銃に代わって(または併行して)搭載されているのだ。
アメリカや西欧、日本ではM79やM203と共通の40mm擲弾を使うものが多く、ロシアは30mm中国は独自に35mm口 径のものを
開発している。この手の車載・または三脚に載せられたタイプは、有効射程が重機関銃並み(1km以上)で、発射速度も一秒で
三発くらいは撃てるので、恐るべき制圧効果が期待できるものである。同じペースで手榴弾を投げつけられることを想像してみろ!

と、いうわけで「グレネードランチャー」と称する火器を作品中に出したかったら、「比較的小型な対人向けの爆裂弾発射機」
という基本を忘れないように。そうでなければ、そりゃ別の名前で呼ばれるべき兵器だと言っとるだろうがァァァ!