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今夜の番組チェック
ハーグ陸戦協定に基づき「対物」(建前)
本来の目的に使うには威力不足、しかも大きすぎ重すぎる・・・そんな大口径体戦車ライフルの役目は終わったかに
見えたが・・・1983年、フォークランド紛争。ここで攻めるイギリス軍は、アルゼンチン軍からの意外な反撃を受ける。
ブローニング(正しくは"ブラウニング")M2重機関銃・・・その基本型は第一次大戦末期にアメリカで開発され、世界
中で使われている、信頼性抜群の大ロング/ベストセラー!その50口径(0.50インチ=12.7mm)弾は、あのドイツの
対戦車ライフルの13mm弾を参考にしたもので、威力的には当時の戦車を貫ける「対
戦車機関銃」とも言える。
アルゼンチン軍はこれを、機関銃として以外に、長射程を生かし、セミオートでの狙撃を行ったのだ!対するイギリス軍、
第二次大戦ではアメリカから送られた対空ハーフトラックから武装を外し、輸送車に戻すなど、なぜか12.7mmを
装備しようとはしなかったため、これに対抗できず苦戦することに。(結局、更に射程の長い一発何百万円もする対戦車
ミサイルで、機銃陣地ごと吹き飛ばす新戦術が生まれたのだが)・・・この事がヒントになり、「12.7mmクラスの銃弾を
使う長射程狙撃銃」の開発が始まったのだ!通常の30口径(0.30
インチ=7.62mm)では、どんな凄腕でも射程1キロが
限界だが、12.7mmならその倍でも命中が期待でき、しかも従来の対戦車ライフル同様、軽装甲を貫く破壊力!
更に、対戦車ライフル同様に14.5mmや20mmなんてシロモノも復活してきてい
るのが現状だ。
ハイジャックされた機体の頑丈なコクピットの窓すら軽く打ち砕き、犯人を即死させることもでき、軍用だけでなく対テロ
装備としても有効なのだ。旧時代の対戦車ライフルよりは軽量・・・反動を相殺するためのマズルブレーキ(注1)が
発達した・・・これらは、しかしなぜか「アンチ・マテリアル=対物」銃
の名を付けられる。現用の主力戦車に対しては
無力であるから「対戦車」ではないし、しかし「重狙撃銃」とは呼ばれない・・・というのも、昔から戦争の基本ルールと
なっていた「ハーグ陸戦協定」で
は、必要以上の傷を与える銃弾=例えばダムダム弾など、の使用は禁止されており、
対人軍用ライフル弾は基本的に鉛を真鍮メッキで完全に包んだ「フルメタルジャケット
=完全被甲弾」、通称「ボール」
ばかり(注2)。命中した瞬間変形して、傷を拡大するシルバーチップ弾などは、軍用としては禁止なのである。鉛が
体内に残って、毒を出すのもマズいからな、戦場では。(このため、本当は鉛粒をバラまくショットガンも禁止)でも
このルールが適用されない警察vs犯罪者の場合は、むしろ盛大に使用されている(笑)。
対人用として威力の大きい
弾が、軍より警察や民間で使われているってのは意外だよな。更に、狩猟用では貫通して即死させにくいフルメタル
ジャケットはむしろ禁止されてたりする。獲物に余計な苦痛を与えず、即死させるため、というのがその理由だ。
大口径の銃弾も、殺せなかった相手を確実に障害者にする破壊力があるため、拡大解釈で「禁止」ということに
自主規制され、この「対物」なる分類が発生したわけだ。しかし、実際今まで12.7mmの機関銃弾は戦闘機から
日本本土の女子供に対してまで盛大に撃ちまくられていたわけで、いまさら何を?という気がするなあ。そして、
パナマ侵攻、湾岸戦争と近代の戦争で実戦投入され、遠慮なく敵を狙撃してバラバラ死体に変えているんだから、
全然意味ねえじゃねえ
か、この名前(笑)
結局、ただの建前だったワケだ。
この手の火器の中で最も有名なのがバーレットM82A1(正しい発音はベェレットに近い)。実際、各国の
特殊部隊や
南アフリカ軍の国境パトロール、フランス外人部隊でも使用されるセミオート型の対物ライフルだ。映画で
最初に登場したのは、おそらく(ダミーの照準スコープ付きで架空銃・コブラとして登場した)「ロボコップ」だろう。
これは、一発で乗用車が爆発するような大砲みたいな描かれかただったが、実銃として登場した「ネイビー
シールズ」などでは、コンクリートを打ち砕いて向こうの敵を即死させる(実銃どおりの)威力を見せている。
逆に疑問が残るのが、漫画「代紋TAKE2」での威力。近距離とはいえ、73式装甲車の傾斜した前面装甲を
撃ち抜いてしまうのだ。しかも、73式の方はM2で同じ弾丸を何十倍もの発射速度で
撃っている(笑)!
これ以外にもボルトアクションにして軽量にしたり、ブルパップ型にして短くしたタイプもある。バーレット以外
にも対
物ライフルは何種類もあるが、書籍やウェブ上で資料が得やすいのは、やはり一番使われている
バーレットで、しかも外見がスッキリしていて描きやすい(笑)ので、漫画に出すのにも大
定番だろう。
というワケで、対物ライフルを作品で使う場合の注意は、前に語った対戦車ライフルと
ほぼ同じであるッ!
口径にもよるが、軽装甲車相手なら撃破(というか、乗員の殺傷)が可能な威力がある。主力戦車相手でも、
無線アンテナや視察・照準装置、砲身(内側に1mmへこんでもまともに撃てなくなる)を破壊することが可能。
ああ、大口径対戦車ライフルもそうだが、大型マズルブレーキから噴出すガスのせいでが盛大に砂埃が
舞ってしまうため、撃つ場所を考えないとすぐ射手の位置がバレてしまうのに注意!(注3)
では本日はこれまでッ!
(注1)・・・銃口、砲口に付く。銃弾とともに噴出すガスがこれに当たって「前に押し出す」ことにより、反動を抑え
る。
(注2)・・・「フルメタルジャケット」をボディアーマーのことだと思ってたヤツは手をあげろッ!あと「アップルシード」
一巻で、「口径ばかり大きいボールじゃ・・・」というセリフがあるが、これは装甲目標に対し貫通力のない
対人用の銃弾しか入っておらず、犯人に対抗できない警察用ランドメイトの銃に呆れて出たものである。
なお、命中時に変形しにくいボールでも、物によってはきれいに貫通せず横転しながら体内を進み、傷を
拡大するようなバランスで作られているものもある。(AK74の5.45mm弾や、新型5.56mmNATO弾のSS-109
などは、先端に空洞があって潰れるようになっており、鉛むき出しでなくても変形してダメージを拡大)
え?・・協定違反じゃないかって?・・・それでもボール弾だから、何も問題ないんじゃあ!(またしても建前)
(注3)・・・銃口から噴出すガスがマズルブレーキに当たって跳ね返るため、無い場合よりも周囲に舞い上がる
埃が多くなる。戦車の場合、砲の位置が非常に低いIV号駆逐戦車が、初期に付けてあったマズルブレーキを
途中から取り外したのはこれが原因。なお、日本語では「砲口(銃口)制退器」と呼ぶ。
殺しの新時代
戦争の形を変えた兵器ってのはいくつもあるが、19世紀末に本格的に登場したこいつは、まさに「革命」だった!
丸い弾丸を銃口から込め、ライフリングの無い銃身から発射する大昔の鉄砲は、使ってるのが黒色火薬で
あったせいもあり、威力も射程も、命中率も近代とは比較にならず、集団による一斉発射で弾幕を張っていた。
そのうち、銃身を複数にして一斉発射ができるようにした発明品も出たが、本当に威力を発揮するのは
・・・1960年、アメリカの医師Dr.ガトリングが発明した回転式多銃身機関銃・
「ガトリングガン」からだ!
当初は黒色火薬を使い、弾倉も本体に固定されたホッパーにバラ弾を投入し、クランクを手で回して
給弾する方式。この銃の場合、連射に必要な装填→撃発→排莢のサイクルを
行うために銃身と
薬室を複数にして、次々に発射できるようにしたのだ。後の普通の機関銃と比べて、大きく重く、複雑に
なってしまうが回転速度を上げれば発射速度はかなり向上するし、弾が不発でも止まらず撃ち続けられる
利点もあった。このため、100年近く後になってバルカン砲などの電動式の航空機用機関砲として
復活するのだが、そいつはまた別の話。
だが、ガトリングガンはまだ数が少なく、大きな戦争全体に決定的な影響を与えるほどではなかった。
機関銃が「大量殺戮ビジネス」の道具としてその本領を発揮するのは日露戦争か
ら。おなじみ203高地の
戦いで、やはりアメリカ人のマキシムが発明したマキシム・ビッカース重機関銃のロシア版を防御陣地に
配置、昔ながらの銃剣突撃で攻めてくる日本軍をなぎ倒した。ちなみに日本軍、フランスのオチキス
(フランス語は最初のHを発音しないのでホチキスでなくオチキス)重機関銃を買っていて、後の奉天会戦で
使用。(この流れでオチキス系が日本の機銃の設計基本になる)これらの戦いを観戦した各国の武官のうち
ドイツ人は特に機銃の大量配備を決定。第一次大戦ではドイツもイギリスもロシアもマキシム系の機関銃で
撃ち合い、それ以前との戦争とはケタの違う死体を作り出し、銃剣で渡り合う白兵戦の時代はここで終わった。
「重機関銃」・・・もともと「機関銃」(マシンガン)と呼ばれたもの
は全てこのタイプ。三脚(トライポッド)や四脚、
更には車輪付きの銃架に載せられており、本体だけで20kg近く、銃架とあわせると50kg前後になるヘビー級。(注)
鋼鉄から削り出し加工で部品を作っている頑丈な銃ばかりなので重いのだが、この重さは反動を吸収する役にも
たつ。基本的に陣地に据付けてチームを組んで互いの射界をカバーしあって、切れ目の無い弾幕を張る。あらかじめ
試射して弾道をチェックしておくとより効果的。重機の使うライフル弾(口径6.5〜8mm)は貫通力が高く複数の人間を
貫いていき、その銃身の直線上2km以上は「死の道」となる!ちなみに、完全に固定しても反動によるわずかなブレと
、弾丸の微妙な個体差、銃の熱による膨張などで、弾丸は完全な一直線には決してならず、一定の円内に収まる
範囲に散らばる。このため、重機関銃は「遠距離ショットガン」とでもいうべき恐ろしい制圧兵器となるのだッ!
機関銃チームが互いに斜めに張った弾幕は何者をも通過させぬ鉄の壁。これを超えるため、後に戦車が生まれる。
重機関銃の威力が最も良く描かれているのが「プライベート・ライアン」冒頭のオマハ海岸の戦闘シーン同じMG42の
威力は「戦争のはらわた」でも遺憾なく発揮されているな。こんなものに正面から、ライフルや拳銃持って突っ込むのは、どんな
スーパーヒーロー気取りが走って跳んで転がっても、待っているのは100%の死。リアルな作品で正面からこいつを制圧するには
@隠れて、機関銃手を狙撃するかAロケットランチャーや対戦車ミサイ
ル、グレネードランチャー、支援砲撃で陣地ごと
吹き飛ばすというのが最も効果的。さもなくば、囮が命がけで正面でひ
きつけて、仲間が側面から近づく他無いだろうなあ。
言っておくが、いわゆる「防弾チョッキ」(ボディアーマー)では機銃弾は防げない。アレやヘルメットはもっと貫通力の弱い
拳銃弾や砲弾の破片を止めるのが精一杯であり、機関銃や小銃(ライフル)の弾は、ズボズボ抜けていくのだ。鉄板?それ、
何キロあるんだ?しかも、5、6mm程度の普通の鉄板じゃ撃ち抜かれるぞ。特に、鉛弾の中心に鉄の芯をいれた徹甲弾はより
貫通力が高く、軽装甲車までも集中射撃で破壊してしまう威力を持つ。だから車に隠れたり、コンクリートブロックの陰に
隠れたりした程度では全く盾にも何にもならんッ!安いアクション映画みたいにはいかんのだ、現実は。
現代では、未だに使われている12.7mmの大口径のものを除けば、純粋な重機関銃は絶滅してしまった。銃架により
軽機関銃にも重機関銃にもなる「多用途機関銃」(ジェネラルパーパス・マシンガン)が主流となったからだ。
(MG42もこれである)これについては、軽機関銃とあわせて次回また!
(注)・・・これだけ重いと、一人では運ぶのが大変。普通は分解するが、日本軍の場合
銃架前後に棒を付けて、お神輿のように担いで運べたりする。ドイツのマキシムの四脚などは
たたむとソリになって曳いていけるし、ロシアのマキシムは車輪で転がしていける・・・でも、
雪の中、70kgもある車輪付きマキシムを一人で背中に担いでる猛者の写真があったなあ(苦笑)。
